【まだまだ続くウイルスとの戦い】新型コロナウイルスの変異株について。

皆さまこんにちは!
少しお久しぶりとなりましたが、今回はウイルスのお勉強コーナーにしようかと思います。
今回お話するのは、ウイルスの『変異株』についてです。

最近、変異株について、テレビやニュース記事などでよく聞きますよね。
しかも、なんとなく「従来のコロナウイルスよりも怖い」というイメージではないでしょうか?

事実、「感染力」や「重症化率」は強く、高くなっていると言われておりますが・・・。

ということで、今回は新型コロナウイルスの変異株についてお話できればと思います。

知っていただくきっかけになりますと幸いです(^○^)

それでは参りましょう!

そもそもウイルスの『変異』とは?

まずは根本的なお話です。
そもそもウイルスの変異とはなんでしょうか?

なんとなく、異なるものに変わることだということはわかりますね。

まさにその通りで、変異とは、ウイルスが自身を複製するときに起きるコピーミスのことです。

そして、ミスの起こりやすさが即ち変異のしやすさということになります。

以前、こんな記事を書きました。

【ウイルス講座】ウイルスを司る『DNA』と『RNA』とは?

この記事では、DNAとRNAの違いについてお話させていただきました。
簡単にいうと、「DNAは変異しにくく、RNAは変異しやすい」ということです。

生き物がDNAによって司られていることはすでにご存知のことと思います。
我々の中でDNAの変異がやたらと繰り返し、原因不明の変化が起こるのは怖いですよね・・・。
だからこそ、安易に変異をしないよう、DNAは安定した構造をしているということです。

逆に、RNAは非常に変異しやすいと言われており、変異を繰り返すウイルスとして代表的な「インフルエンザウイルス」は、RNAで構成されています。
非常に変異しやすく、その変異スピードは人のDNAの1000倍とも言われております。

大変変異をしやすいため、インフルエンザの変異株の数は膨大です。
人間は毎年、その年に流行しそうな新型インフルエンザ株を予測し、「どのワクチンが有効か見極め」して、対応をしているわけです。

ちなみに、新型コロナウイルスの変異は2週間に1度で、インフルエンザと比べると半分のスピードになります。

変異は日常的に起こっていることなので、変異自体に悪い影響があるわけではないのですが、稀に人間にとって都合の悪い変異が起こってしまうということですね。

新型コロナウイルスの変異株について

コロナウイルスでは、ウイルスの「スパイクタンパク質」という部分に変異が生じると言われております。

スパイクタンパク質とは:ウイルスの表面にあるもので、ヒト細胞と結合する役割を果たし、鍵のように働く部位です。

スパイクタンパク質

ウイルスが外部から侵入し、迫ってくると、まず初めにヒト細胞の「受容体」がウイルスのスパイクタンパク質と接触します。

受容体とは、呼ばれる細胞外からやってくる様々な因子を選択的に受容するタンパク質のことです。
そして、変異したコロナウイルスでは、スパイクタンパク質がこのヒト細胞の受容体とより強く結合するようになったことで、感染力が強くなったと言われております。

ただし、感染者数が増えれば重症化数が増えるのも自然なことで、重症化の原因が、「変異によるものと明らかになっているわけではない。」という意見もあります。

変異株の種類

冒頭でもお話しましたように、変異自体は日々起こっているので、変異の数や種類を挙げだすとかなりたくさんあるということになります。
なんと、一番はじめに中国で確認されたコロナウイルスより、イギリスで見つかった変異株は23箇所も変異があると言われているんです。

そこで、数ある変異の中から、「このタイプの変異には要注意」という基準が設けられています。

注意が必要な変異株については、WHO(世界保健機関)によって、以下ように分類されます。

変異株の分類
  • VOC(Variants of Concern; 懸念される変異株)
  • VOI(Variants of Interest; 注目すべき変異株)

それぞれに細かい定義はあるのですが、今回はイメージだけで十分かと思います。
皆様は、「VOCは危険なヤツ」とご理解ください。

また、現在感染が確認されている変異株のウイルスに関しては、注意が必要な変異の種類が主に2つあると言われております。

N501Y
従来より感染力が強いとされる。
(スパイクタンパク質の変異のせい!)

ウイルスのタンパク質の501番目のアミノ酸がN(アスパラギン)からY(チロシン)へと変異。
E484K
従来より抗体やワクチンが効きにくくなる可能性があるとされる。

ウイルスのタンパク質の484番目のアミノ酸がE(グルタミン酸)がK(リシン)へと変異。

ウイルスのサンプル採取し、検査にかけると、変異のない従来型なのか、N501Yに変異が見られるのか、E484Kに見られるのか、はたまた両方が確認できるのかがわかります。
それによって、感染力が強いのか、ワクチンが効きにくくなる性質があるのかなど、大まかに判断ができるようになります。

現在国内で確認できている変異株(VOC)としては、「イギリス株」、「ブラジル株」、「南アフリカ株」、「フィリピン株」、「起源不明株」の5つがあります。
イギリス株の流行はよく耳にされていることと思います!

それぞれの変異に関して、表にまとめてみるとこんな感じになります。

VOC-202012/01
イギリス
イギリス株
501Y.V2

ブラジル
ブラジル株
501Y.V3

南アフリカ南アフリカ株
P.3系統

フィリピン
フィリピン株
R.1系統

起源不明株
変異株 N501Y
×
E484K
×

あくまで2021年4月現在確認できている変異株となります。
さらに出現することも想定できますので、注視が必要です。

予防対策について。

変異を繰り返す新型コロナウイルスに対して、予防の手段はあるのでしょうか?

ワクチンを製造しているアメリカのファイザー社曰く、イギリス株や南アフリカ株などの変異型ウイルスに対しても、「高い感染予防効果を確認した」とのこと。

ワクチンによる予防は現段階でも可能ということになります。

ただし、根本的に効果が期待できることとしては、何度も申し上げている基礎的な感染予防となります。

  • マスク着用による飛沫感染予防。
  • 手洗い・うがいの徹底による接触感染予防。
  • 換気や空気清浄機の利用による空気感染予防。

引き続き徹底してまいりましょう!(^○^)

長くなりましたが、今回の記事はここまでとなります。
最後までお読みいただきありがとうございます。

【参考文献】
厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(変異株)への対応

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