【ウイルスのおはなし】ウイルスにも様々な種類がある!分類から見えるコロナウイルスの特徴とは?
みなさま、こんにちは。
緊急事態宣言がひとまず終わり、少し開放的な気分になれている方も多いかと思います。
そこで、今回のブログでは新型コロナウイルス感染症ついてなど社会的なお話ではなく、ウイルスそのものの勉強ができるような内容にしようと思います。
ウイルスにも様々な種類があり、コロナウイルスやインフルエンザウイルスはその一種です。
このブログは、その分類の仕方やそれぞれの特徴、さらに身近で危険なウイルス性感染症や名前を一度は聞いた事があるだろう新興感染症について読むだけでなんとなく理解できるようなブログになっています。
それでは参りましょう(^○^)
ウイルスの分類について
さて、まずはウイルスの分類についてですが、実は構造によってや、遺伝情報によってなど、色々な分類の仕方があります。
構造による分け方ではエンベロープウイルスとノンエンベロープウイルスに分けられます。
これはウイルスの周りにエンベロープと呼ばれる膜を持つのかどうかによる分け方です。
エンベロープウイルスの例はインフルエンザウイルスや風疹ウイルスがあります。
この二つの大きな差はアルコールが有効かどうかです。
エンベロープウイルスにアルコールを用いるとその膜が破壊されるため感染対策に有効です。
一方、ノンエンベロープウイルスには膜が無いためアルコールによる破壊ができません。
ノンエンベロープウイルスの代表はノロウイルスですが、その患者が吐いてしまった時にアルコールによる消毒ではなく、塩素系の漂白剤を用いるのはそのためです。
それくらいの強い薬剤でないと適切に処理ができないという事です。
また、ウイルスは遺伝情報による分類もできます。
過去のブログで細菌とウイルスの違いについてお話しした通り、ウイルスは細胞を持たず、タンパク質の中にDNAや RNAなどの遺伝情報があるだけです。
そこを利用してウイルスの中の遺伝情報がDNAなのかRNAなのかで分類する事ができます。
DNAは2本の鎖が交差するようにらせん構造をもち安定しているのに対して、RNAは1本の鎖だけでできていて不安定だという話をした事があると思いますが、ウイルスではその差が変異性の違いを生みます。
不安定なRNAウイルスの方が変異をしやすいという事です。
さらに細かくいうとその鎖の数や形状によっても分類できるのですが、どんどん難しく専門的になってきますのでまずはDNAかRNAなのかで分類できる、ということを知っていただければ十分かと思います。
コロナウイルスの特徴
色々な分類をお話ししてきましたが、ではコロナウイルスはどこに当てはまるのでしょうか?
コロナウイルスはエンベロープを持つRNAウイルスです。
今まで学んできた特徴を当てはめると、コロナウイルスはアルコール消毒が有効だけど変異をしやすいウイルス、ということになりますね。
変異のしやすさに関しては様々な株の名前を聞くこの頃ですので、納得かと思います。
ですが、アルコール消毒などの基本的かつ簡単な対策が有効ですので手指消毒などは忘れずにしていきましょう!
ここからはコロナウイルスだけでなく、誰もが聞いた事があるであろうウイルス性感染症についてお話ししていきます。
「へー、そんなものもあるんだ〜」程度に読み進めていただければ幸いです。
身近?!危険なウイルス性感染症
皆さんは危険な感染症と聞いて思い浮かぶものはあるでしょうか?
私は、真っ先に狂犬病が浮かびました。
狂犬病はラブドウイルスというウイルスの感染症で、その怖い部分は発症するとほとんど助からない事です。
発症前にウイルスを不活化する作用のあるワクチンを複数回接種することで発症を防ぐことが重要なのです。
このウイルスの興味深い点は発症すると動物が人を恐れることがなくなり目に入るもの全てに噛み付くようになることです。
これはウイルスの感染を広めるための生存戦略とも言える症状で、感染により動物の攻撃性までも高めてしまうというのがこのウイルスの怖い部分です。
ウイルスもそれぞれの生存戦略でいかに宿主を増やそうとしているのかがうかがえる興味深い感染症といえますよね。
そんなことまで!HIVの生存戦略
狂犬病のラブドウイルスの攻撃的な生存戦略について学んだところで、最後に新興感染症のHIVの凄すぎる生存戦略についてです。
皆さんもHIVやその症状であるAIDSを聞いた事があるかと思いますが、これはいわゆる新興感染症で、近年新しく認知され関心が高い感染症です。
HIVはレトロウイルスと呼ばれる分類でこれまで話してきた分類とは別の扱いです。
その理由は感染の仕方が全く違い、それにより固有の生存戦略を持つからです。
その生存戦略とは簡単にいうと宿主のゲノムに残る事です。
ゲノムというのは遺伝情報のベースとなる配列のことで、この中にウイルスを作り出す工場になるゲノム配列を組み込むことができるのです。
細胞にその情報が残るため、細胞分裂することでその工場が増えていくためじわじわとウイルスそのものも増えていきます。
そのため一度感染すると抑える事が難しく、いずれAIDSを発症するのです。
難しい内容だとは思いますが、どうしてもこの説明をしたかったのは今後ワクチンのデマについて解説する記事を近いうちに書こうと思っており、その説明にこの内容も関連してくるからです。
デマの一つに「ワクチンがゲノムを書き換える」、や「遺伝子が改変される」、といった内容のものもあるため、その時に“レトロウイルスじゃあるまいし!”とツッコミを入れられるように先に皆さんにその知識を仕込んでおきたかったのです。
難しい話にお付き合いいただきありがとうございます。
また次回のブログもお楽しみに!(^○^)