【ウイルス講座】ウイルスを司る『DNA』と『RNA』とは?
みなさまこんにちは。
今回も、「ウイルス」に関して勉強してまいりましょう。
ウイルスが「菌とは違うもの」ということを、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って知ったという方も多いのではないかと思います。
菌とは異なる対策を行わなければならないというわけですね。
では、一括りにウイルスと言っても、『DNAウイルス』や『RNAウイルス』、また『エンベロープウイルス』や『ノンエンベロープウイルス』など、ウイルスはさらに差分化される種類があることをご存知でしょうか?
一人一人が、ウイルスをより深く知っていくことで、ウイルス感染症への対策方法、また安心感へと繋がると考えております。
今回は、ウイルスを知る上で避けては通れない、『DNA』と『RNA』についてお話しようかと思います。
『DNA』と『RNA』とは?違いとは?
DNAは耳馴染みのある言葉じゃないでしょうか?
馴染みはあるものの、何だと言われれば、うまく説明できる人は少ないかと思います。
DNAもRNAも、どちらも『核酸』と呼ばれる生物の遺伝情報を保存するための物質です。
これらどちらとも無くして生物は生まれることも、生きていくこともできません。
DNAは「デオキシリボ核酸」(Deoxyribo Nucleic Acid)と呼ばれ、英語の頭文字をとってDNAと呼ばれます。
同様にRNAは「リボ核酸」(Ribo Nucleic Acid)と呼ばれます。
名前はよく似ているのですが、これらが担う役割は大きく異なります!
それぞれの役割はこちら。
DNA
遺伝情報を長期的に保存する。
RNA
遺伝情報を一時的に利用する。
DNAと言われると、長くウネウネとした、長い鎖みたいなものをイメージされる方が多いかと思います。

このイメージからもわかるように、DNAは2本の鎖が交差するように「らせん構造」を作り、遺伝情報の長期保存に適した安定した構造をとります。
反対にRNAは、遺伝情報の一時利用が役割ですので、仕事が終わればすぐに分解できるよう1本鎖の不安定な構造をとります。
具体的には何をする?
遺伝情報の「保存」や「一時利用」と言われても、なんのことだかサッパリわからないと思います。
ので、具体例をもってご説明させていただければと思います☆
DNAやRNAは、体内において『タンパク質を作る』という大きな仕事をしております。
ただし、闇雲にタンパク質を作るのではなく、非常にシステマチックで効率的に、役割分担をしながら行います。
この際、DNAは司令塔です。
まず、細胞分裂が必要となるため、DNAは自身をコピーして「複製」します。
複製されたDNAの遺伝情報を、RNAが読み取り、情報を「転写」させ、タンパク質の配列を決定するために必要な情報を抜き取ります。
最後に、RNAがもつ情報を元に、必要なタンパク質(アミノ酸)を作る作業が行われます。これが、「翻訳」と呼ばれるステップです。
全ての作業が終われば、過剰にタンパク質を作らないためにも、RNAは分解され無くなります。
順序としては、『DNA→RNA→タンパク質』となります。(セントラルドグマと呼ばれる仕組みです。)

タンパク質の種類は、なんと10万を超えるそうです!
役割の違いを実現させるために、化学・生物学的な構造の違いはたくさんあります。
- ヌクレオシド・ヌクレオチドが異なる
- 塩基の種類が異なる
ただしここを語り出すとかなりボリュームがやばくなってくるのでまた機会があればご説明させていただきます。(笑)
ウイルスにおいてはどんな影響がある?
ここまでで、イメージとして「DNAは安定」、「RNAは不安定」とご理解いただけたかと思います。
ウイルスにおいても、例外はありません。
DNAウイルスは安定した遺伝情報があるため、特定のワクチンが効果を発揮しやすいウイルスとなります。
例えば、天然痘を引き起こした天然痘ウイルスは、平均致死率20-50%と非常に高いウイルスですが、人類が史上初めて根絶することができたウイルスとなります。
反対にRNAウイルスは、変異をしやすく、特定のワクチンを作ることが困難なウイルスです。
有名なのはインフルエンザウイルス、コロナウイルス、エイズウイルスなどがそうです。
難しい内容でしたが、いかがだったでしょうか?
DNA、またRNAに関して、理解を深めるお手伝いができましたなら幸いです。
また、次回の記事をお楽しみに。(^○^)